終末の情景
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Seacret. 人工楽園
1995/08/05
これは本当に好きになれるか嫌いになるかのどちらかです。ヴィジュアル系的ナルシシズム全開の歌詞から始まって、ペラペラの薄い音圧、ヴォーカルも上手いとは言いがたいし。V系嫌いの自称音楽オタク方たちが喜んで叩きそうな内容ですけどね。でも私は大好き。ショボイとかナルってるとか、そんな通り一遍の価値観がクダラネェと思えるほどに心打たれるこの言葉にメロディこそ格別。薄い音は、裏を返せば徹底した繊細なクリーントーン。キリキリとハードな上に、これでもかっつーくらいの切な切な切な切ないメロ目白押し。ヴォーカルの使い方も凝ってるし、ツタツタしたドラムのなんとも言えぬセンスといい、「切なさ」を表現することにかけてのやりすぎなまでの徹底っぷりが見事。そりゃもう「あはっ…ヴィジュアル系！！好きで何が悪い！！」と全面降伏状態であります。必要なのはテクでもメッセージでもなくて、溢れるような情感に溺れるのが好きなんだというタイプのヴィジュアル信奉者はハマってください。
どの曲も良いです。捨て曲なんかあるわけない。ツボにはまったらノンストップで全部聴けちゃいます。JESUS？とか、KISSxxxxなんか特に好きだな。KISSxxxxは未だに幸也さん歌ってますね。追憶はDir en greyの-I'll-の元ネタなり。それでシークレットトラックに入ってる人工楽園が発狂するほどカッコいいんですよこれが！私の人生のうちの数多き名曲の中でもトップクラスのハードナンバー。
あまりにもやりすぎなこの一枚、それでも嫌な感じがしないのは、「所詮綺麗に飾り付けたってあの幸也でしょ」という突き放した無意識がリスナーのうちに流れているためなのかもしれませんｗ。ちょっとヘンなところもヴィジュアル系だし、あの伝説の幸也だし、で許されるところが憎たらしいねーまったく。幸也は哀です。あらゆる意味で。性格悪いとかなんとか言われまくってても許されるくらいの凄いヒトです。D≒SIREは現役で追ってたわけではないので、もう誰がどの曲を作って弾いて叩いてるのかなんてまーったくわかりゃしませんね。それくらいメンバーチェンジ激しかったです。幸也がいた、他聖詩とかいろいろいた、終了、みたいな認識でしかない。あるのは手にした音源のみ。でもそれでいいじゃない。
JILSでやっていることは、それでもまだまだ、洗練されて整頓されて、この徹底した切なさがなくなってるのが悲しいとこかもね。バンドとして音楽としての視点で見れば成長してるというのだろうけれど。
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【Update : 2002.5.23】
