PIERROT
Dictators Circus VI
Act For Chemical Species
Act For Original Species

2002.12.22・23
さいたまスーパーアリーナ





 何故このライヴのチケット取っちゃったのか自分でもあんまり良く覚えてなくって、どーもピエロモードになれなかったんだけど、でもやっぱりピエロはピエロ。一ツアーにつき一回位はちょくちょく見に行きたいPIERROT。あのオバカなくらいの盛り上がりは必見ですわ。特に今回は、アルバムツアーとかじゃなく単発のイベントDictators Circusだから何が出るか予想もつかなくて楽しみだ。
 私はあんまりピエラーに良い思い出が無いので、お前ピエラーかよ、とか思われそうなのがなんだか嫌だなぁと思うんだけれど、でもPIERROTのライヴってちゃんと面白いからさ。ピエラーちゃんはほとほと嫌いだけどPIERROTそのものは割と好き。それでもいいでしょ。ピエラー憎けりゃピエロまで憎い、とか言う人は結構多いけれど、でもね、Vis系バンドっていうのは、人間的にどーかと思われるよーなアレなファンが集まれば集まるほど、ライヴそのものは加速度的に盛り上がるんだよねぇ〜。PIERROT最高!客電が落ちたときの、PIERROTならではのあの歓声のすさまじさ。何度聴いてもドキドキする。

まずは最近は大規模会場のライヴに行ってなかったから、その演出の凝りように感動。スクリーンもあるし、照明も凄いし、演出にも凝ってる。ちゃんと大きい場所ならではの見せ方をきちんとしてくれるから遠くったって面白い。ダンサーは踊り狂うし、雪は降るし、テープは飛ぶし、マグネシウムは炸裂するし、ここまで潔くてんこ盛りで演出してくれるとすがすがしいね。
 案外激しいヘドバン曲は無くなってるみたい。振らずにはいられないわっって位のヘドバン曲なんて、蜘蛛の意図とか、あと数曲くらい。フリ付きで皆で踊るか、聴くかって感じ。PIERROTに限らず最近シーン全体でヘドバンつーものが減ってきてると思うな。関係ないけどあんまりコロコロとフリを変えないでおくれ。D.N.Aとか見るたびに違う気が。私みたいにテキトーにしか行ってない人にはついてけてませんわ。
 シンセギターにインパクトがあって派手でいい。激しさとか、勢いとか、深さとかじゃなくて、ぎゅっとまとまって整頓されてる音。HEAVENの音に限らず、ロックというよりはポップス寄りな音っていうのかなぁ。あれはあれですごく良いと思うな。ピエロの曲は、毎日聴いてるとウンザリなんだけど、たまに聴くとめっちゃくちゃカッコよく聴こえる。
 アンコールも、あれだけの大きな会場なのにビシっと揃うから素晴らしいわ。気合の足りない我々は、二日目、三階部分の関係者席を眺めてました。色とりどりの髪した頭が並んでると、やっぱ誰かな誰かなって、好奇心がうずくわけですよ。「あれナイトメアじゃない?」「え〜?そう?」「だって二番目の人の髪型がさぁ」「にーやと黄泉に見える?」「うーんわかんない」「あ、明だ!あれ絶対明」「あれIZAMだと思う」とかオペラグラス覗いてぐだぐだやってる。最近ちょっとメンバー紹介がダルいなと思いはじめてきてる。別に面白くもない話聞かなくたっていい。TAKEOさんはよい煽り。

 一日目は開場時間が二時間も押してて大変だった様子です。オープニングは旧約聖書のはじめのほうの、カインとアベルの話。(あれってもともとあんな話でしたっけ?途中から全然記憶に無かったんですけれど)。アリーナのアイジ側の後ろのほうのはじっこ。はじっこだからフリとかミスすると、スタンドの客に丸見えな気がしてちょっとねー。まわり男ばっかり。「俺とイケナイコトしませんかー?」のキリトの煽りに、「したーい!!!」と後ろからヤローの野太いシャウトを浴びせられて、かなりウケてしまいましたわ。潤の衣装がもこもこしてて可愛かったな〜。キリトがプチ京みたいな格好してたぜ!お兄様、黒メッシュ入り金髪なんて、めっきりやつれてしまわれて…。悪いことばっかりしてたお兄様は、地元埼玉の大宮西警察署が「カプセルホテル」だったのだとか。…お兄様? その他某国のバカ息子がどうのこうの言ってましたけど、お兄様…拉致されちゃうよん。
 二日目は、着席までに20分遅刻していったら開演25分押しでした。とほほ…。潤側のスタンドの後ろのほう。ハッキリ言って昨日より見やすいです。遠いけど。ピエロはメンバー萌えじゃないしお客さん観察が楽しいので私は遠くていいです。リオのカーニバルよろしく派手なショウから始まってました。中盤のHEAVENパートが少々まったりしすぎたかもしれない。

 Dictators Circus VI今回のテーマは「絶望すること」らしく、二日間かけてことあるごとに「お前らはこの、くだらない世の中に絶望すべきだ」「お前らは、核ミサイルのボタンひとつで今ある学校なり会社なりが無くなる絶望的な世の中に生きている」みたいなことでキリト様から絶望しろ絶望しろとくどくど説かれる訳です。で、あーもう思いっきり世紀末思想かそれは位の勢いで煽ってるし、でもなんか主張してることには中身ないような気がするし、PIERROTは宗教だなぁって、内心大笑いなんですけどねぇ。あの煽り方は宗教ですよ。
 BIRTHDAYの前説で泣く人多いらしいんですよ。演出に厳しいわたくしとしましては、もっと心に響くような深みのあること言ってくれないとカラ回りでシラけるんですけど、ピエロシンパにはどうもあれがたまらんらしい。ってか、あんなのでもいいらしい。心さ迷えるティーンエイジはフラっと行っちゃうんでしょうかね。そこをまたキリトは狙ってるんでしょうけれど。「宗教も、政治も信じられないこの時代、俺を信じろ」とかいわれても私は困るわけ。私は自分大好き人間なので、キリトごときに思想をゆだねるにはちょ〜っとねぇ?ねぇ〜〜?
 多分、彼は神でも教祖でもなくて、カルトの手法を通じて音楽活動を行っていったらどうなるのか、を賢く計算している「表現者としての秀才」、努力家なんだと思うな。天才肌のアーティストなのではなくて、努力が実る人秀才。キリトが、毎日日経新聞まで隅々まで読んじゃうようなタイプで、ニュースステーションに出られるほどの本物の知識人だったとしたら相当面白いとか思うけど、それは、多分、無い。だから、キリトはあくまでもバンドのフロントマンであって、宗教っぽいのも、あくまでもバンドとしての表現の一部と考えているのではないかと、私は思うけどな。Vis系としての個性として、信者獲得のための手法を応用してみたり、人の思想を揺り動かしたりする。左翼的なのも世紀末思想っぽいのもちょっとスリリングでソソられる。そういう要素でPIERROTというバンドの世界を構築していく。
 ピエラーちゃん一同キリト様の言うことに共感するのは大いに結構だわ。それで生きる支えになるならばPIERROTの存在価値はあるし、支持されるべき。だけどさ〜、だけどさ〜、だーけーどーねー。現実的に「ピエラーは…」という動かしようも無い事実があるわけよ、あの洗脳はなんか良くないんじゃないかと思ったり思わなかったり…(笑)。ピエラー本人は幸せだけど他人には大迷惑なんて、それこそ新興宗教だよねー。どうにかしてよねー教祖様。
 まー結局バンドは演出としてカルトを演じてるわけだから、こっちとしても雰囲気は楽しまなきゃ!ということで、この信者集会のようなヤバそーな雰囲気はやっぱりたまらなく楽しいわね。見渡す限り全員ヘドバンとか、フリとか。ああー、これはどこかの国のマスゲーム状態…。全員揃っててこの一体感がなんか爽快だ、イカす。PIERROT好きだ。この濃ゆーい空気が好きだ。

そんなこんなで、二日かけてなんだかまったりだらだら観てしまいました。割と良かったです。

そういえばピエラーちゃん可愛いわね。インディーズに比べたらやはり黒服率・バンギャブランド率は格段に高くて、目が楽しいです。しかも案外可愛い。可愛いロリータさんは思わずストーキングしたくなるわ〜。怪しい集会の雰囲気作りに一役買ってます。大きなライヴはお祭り感漂ってて楽しいですね〜。背中にキリトの大判写真と「一生ついていきます!」の文字を背負ったラーには多少笑いが止まりませんけど楽しいから全て良し!何でもアリ!マリズとか居なければ良し!

人が多すぎて二日目の終演後はゴキゲンナナメでしたが、最近密かなブームのCalmand Qualさんがビラ配ってたので、ヴォーカルさんを捕獲してテキトーに喋って納得してちょっとゴキゲン回復しましたわ。ちょうど良く現れてくれてありがとうな気分。彼に遭遇した時点でピエロのことはすべて忘れたという説も…。生クヴァールにやられてオウリさんが壊れちゃいました。
 その後とりよしでLacryma Christiっつー名前だけは甘アマそうな辛口さっぱりワインをがんがんあおっていい気になって寝てたら風邪ひいて寝込んじゃいましてね。うーんキリト風邪…。




【edit:2002.12.30】

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