東名トライブ 〜メリー編〜 メリー / deadman
2002.6.21
ell FITS ALL
なんかもう、deadman好きですね。生半可に好きじゃないです。ラルクの後ようやく非の打ち所のないバンドが巡ってきましたかね。長かった。
その演出の上手さ。さもないチープな小道具がゾッとするほどの視覚効果に変わる瞬間は見事としか言いようが無い。
闇の中手にしたカンテラの光に浮かび上がる歌い手の姿は生々しく けれどフロアとステージの間に張られた薄いフィルムはその世界を遮断してる。まるでTVを見ているかのような無機質な映像。 ライヴハウスという閉じられた空間の、それは液体のような密度、まるで音のプール。まとわりつく水圧、冷たさ、鈍い音が微かに届く。 そこは大気の中を生きる人間にとってはこの世でない水の異世界。 色別のない空虚、桜と雨、苦悩の中の耐え難い存在、ステージ演出の底知れぬ可能性にはただただため息ばかりの「静」。
そしてサウンドの凄まじさ。テク的にああ上手いねとか下手くそねだとか、そういうレベルじゃないのだよ。そういう思考が停止するほどにブッチギリの・・・音?あそこまでくるとシンプルに「音」だというのもおかしいくらいなんだよねぇ、何もかもにただただ圧倒するばかり。ここまでライヴダイナミクスの激しいバンドって、初めてだ。地味に音源聴いて収まってる場合じゃないよ。全然違うもん。
そして狂気的に炸裂する「動」セクションでは、何故か焦げ臭い匂いがまで漂ってくる始末。それも幻臭だったのか、本当に何か焦げてたのか自分でも良くわかんないの。コゲくさいのがよりによってbloodとre:make。それはそれはいろんなものが焼け付きそうです。後半突き進むにしたがって、quo vadisくらいになってくるとぐらぐらして床に足がついてないみたいな感じになってきてんの。アルコール入った時にアタマとカラダが分離してるのがキモチイイって感じになったことってない?ああいう酩酊状態。あれは酔ってたね。あぁ、それでライヴ終わった後もずーっとしらふで酔っぱらってたんだわ。すっごいね、初めてだね。4年に一回くらいしか巡り合えないくらいの好きバンドだね。ヤバいねこりゃ。 というわけで、私はまた笑うでもなく真剣な顔で眞呼を堪能し、またquo vadisの迫り来る音圧に全身ふにゃけていたのです。
これは目で眞呼を見て、耳でタカマサとaieとトキを見るのが正しいのだろうなと判断いたしまして、途中から、そうね眼球はまさに眞呼に釘付けでした。ずっと色んな眞呼を見てました。表情の豊かな人で、曲によってめまぐるしくその「表情」を変えてゆく様はクドイようですが役者のモノで。悲しかったり、狂ってたり・・・、曲の世界を演じていく役者。新ネタで、演説台が出てきてましたね。あとは手首に包帯を巻いて首締めたりしてました。 でもねぇ、aieとかねぇ、目で見てなくても、見てるのと同じくらいの存在はあるのよ。それで全く問題なしとしてしまったから、見てないの。何を着ていたかわからない。何のギターを持ってたかとか全然覚えられない。同じ場所に結生が立ってたとは思えないくらい、そこに立っていたことを覚えてない。で、眞呼も怖いがタカマサも別の意味で怖いです。ずっとタカマサのほうには目を向けないように、向けないようにして、ひたすら眞呼だけ見ていたのです。
なんかね、見るべきヒトに見て欲しいです。いつまでも客少なくてもいいから俗世のバンギャル文化に巻き込まれて欲しくないのね。エゴイズムだろうと言われようと。あの音と感覚を共有できるヒトと一緒に見たいし、ライヴは客と作り上げてく空間だからさ。
そんでもって先手だったのに失礼なことにすっかり忘れられているメリーですが。申し訳ない。そうそう東京はdeadman先攻で、名古屋はメリー先攻だったんですが。 忘れ去られているとはいえ好感触。メリーは小さいところでゴチャゴチャしてる感じ、なんだかレトロでシュールに壊れていって、傍観者を「なんじゃそりゃ!!!」と言わせるコミカルな笑いが素敵。イントロは「世にも奇妙な物語」のパクり映像で、相変わらず墨は吐いてたしタマゴも生んでました。お習字は・・・なかったですけれど。いいねネタバンド好きだ!本日はガラちゃんと歌ってました。あのかすれた辛そうな声がいい味だしてる。メリーもそこら辺の若手よりはずっといいステージに違いない。テクニックに不安要素があることはしょっちゅう言われますが、それでもそんなのもメリーじゃないかと。荒さも含めて勢いでグイグイ引っ張っていけるのも既に完成系だと思うのですよ。ただ、deadmanで吹っ飛んでいった為、スミマセンすっかり忘れてました。頭の中で前座扱いされてます。絵柄は全く違うけれど小ネタ好きというアプローチが似ているから比較されてしまうんですかね。 私は結生がかわいいと思っていました。ガラから逃げる結生がかわいらしかったのです。でも素肌ネクタイでハズしちゃうところがやっぱりメリーですね、ふふっ
ヴィジュアル系の真のヴィジュアル系たらしめる要素として、空気感ってのはキーポイントだと思うの。・・・私は、ライヴで、音楽を聴きたいのでも、暴れたいのでもなくて「雰囲気に溺れたい」のよ。 そして各バンドが作り出す色・・・空気を基準にバンドの価値を量ってる。 サウンド、ヴィジュアル、あとは匂いとか、流れる空気の冷たさ・熱さとか、 音に乗ってカラダが動いてれば楽しいというあたりまえの図式以上のモノがあってこそのヴィジュアルステージとしての価値だと思うのよね。 ライヴには二種類あってさ。肉体に訴えるライヴと精神的に訴えるライヴとがあってさ、deadmanとかは、暴れてスッキリというよりはむしろものすごく精神活動なのよ。ノリノリでヘドバンだらけのライヴと全員立ち尽くしてるライヴと、どっちが盛り上がったかっていわれたら前者かもしれないけどさ、それがライヴの価値じゃないよね。しいて挙げるとすればメジャーでdeadman感覚に一番近いのはPlastic Tree。精神活動系って意味でね。あそこも結構客立ち尽くしてるでしょ。 スイトラで、プラよりピエロの方が盛り上がったからピエロのほうが勝るかといわれたらそういうことでもない。どっちもそれぞれだ、ということ。関係ないけどね。んっ だから客も無理して曲に合わずに踊ったりヘドバンしたりしなくたっていーじゃん、相応しい楽しみ方で楽しめばいいじゃん?みたいな・・・。あぁわけわかんねぇな。
来月は、deadmanと、ナイトメアと並べちゃうのか・・・。 視覚的快楽重視のメア好きと死人好きは交じり合わないだろ・・・なんだか。 荒川れいこ様作のパンフレットというかミニコミというかなんというか・・・「deadman_2.doc」は読み応えアリでかなり面白かったです。
東名トライブ、始まったばかりなのにのっけからゲストバンドがこの仕打ち・・・これからどうなる。
【SET LIST】deadman 1. in media 2. lunch box 3. please god 4. blood 5. 苦悩の中の耐え難い存在 6. 色別の亡い空虚 7. 桜と雨 8. 溺れる魚 9. サーカス 10. quo vadis 11. ブルーベジー 12. 701126
13. site of scaffold
14. re:make
【update:2002.6.26 edit:7.2】
FOOL'S MATE Reader's voice用(没だったのでここに載せて見た。)
先攻はメリー。「ありえない!」「なんじゃそりゃ!」と思わずツッコまずにはいられない、相変わらずイイ感じに壊れちゃったコミカルな笑いが満載だ。強烈なバンドカラーを前に、さすが短期間でコレだけの人気を得ただけのことはあるなぁとホレボレしてしまう。ライヴハウスという限られた場所でなんでそんなにネタ思いつくんだと思うくらいのメリーのパフォーマンスの数々は、是非「ネタバレ禁止」にしなければね。いつもかすれて辛そうな声で頑張って歌っている超人的ヴォーカリスト・ガラの見事な狂いっぷりはいい味出てる!哀愁とレトロな楽曲に、狭いステージを所狭しと暴れまわる密室感、ぶちまけた勢いのある演奏にフロアがグイグイ引っ張っていく様は見ていても愉快愉快。メリーはいつでもなんだか面白い。
後攻のdeadmanでフロアの空気は一転する。音に溺れて窒息しそうなほどの迫力には、いつも身じろぎひとつできないくらいの緊張と、ある種の恐怖を覚える。さもない小道具でも、歌い手、眞呼の手にかかればゾッとするほどの演出効果に変わる。ステージ演出としては従来のバンドにはありえないくらいの群を抜いたクオリティを見せるのがdeadmanだ。闇の中手にしたカンテラの光に浮かび上がる眞呼の姿・・・フロアとステージの間に張られた薄いフィルムは、外界を遮断して、切なく悲しく歌う感情の生なましいその姿も何故かTVを見ているかのような無機質な映像に感じられる。ライヴハウスという閉じられた空間の中にびっしりと満たされたdeadmanの世界。あの場にいた誰もが圧倒され息を飲んだ「静」の世界。
そしてなにより半端じゃないサウンドの凄まじさには圧倒するばかり。ここまでライヴダイナミクスの激しいバンドって、初めてだ。あの空気はあの場所に立ってみなければ分からないだろう。後半に突入するにしたがって狂気的に炸裂する「動」セクションは、もしこのまま床が落ちても気づかず空でも飛んでるだろうって思うくらいに格好イイ!!この破格のクオリティを持つこのバンドは、ちまたのヴィジュアル系文化に限定されることなく本当に見るべき人に見て欲しいバンドだと思ったのだ。
この二バンド、歌い手としてのヴォーカリストではなく、バンドカラーの主軸となるパフォーマーであり表現者だ。何かと馬鹿にされがちな視覚表現重視というアプローチも、こだわるなら徹底的にこだわってるバンドが面白い。
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