昼下がりのジキルとハイド
Blast+deadmanカップリングツアー
2002.04.23
熊谷VOGUE
メリー / Blast / deadman
■総評
もうdeadmanにはベタ惚れです。どうしよう好きだdeadman。ライヴに何を求めるかは人それぞれですけど、「怖い映画・泣ける映画大好き」タイプの人間は絶対見るべき。で、精神的打撃を受けて帰って良く眠って下さい。
エンターテイメント性追求のメリーは「アクション好き・コメディ映画好き」向きですかね。
Blastは「清春好き」で。そんなとこです。以下詳細。
4月23日。deadman+Blastカップリングツアー、「昼下がりのジキルとハイド」。名古屋の双璧kein・Lamiel出身者同士で面白いツアーを組んでくれたモノですわ。ついでにゲストが人気急上昇のメリー。わざわざ熊谷まで行っちゃった。しかもチケット忘れちゃった。二千五百円だからまぁ、当券で納得するくらいのうっかりですけど、流石に凹む。
後ろでまったりまったり見ている予定だったけれど、なんだか後ろは全く見えやしないので上手側サイドでぼつぼつと見る。
客大人しいよ。一番逆ダイあったメリーでも3.4列くらい。別に私が暴れる訳じゃないので大人しいのは見やすくて良いですが、バンドに集まる客の特性ですか、非常に大人しかったと思います。
会場では、deadmanとBlastがお互いの曲をカヴァーし合う、なんていう面白いCDを売っていました。その詳細は、また別件で。
■メリー
本日のゲスト、メリー。人気急上昇中。メリーは、なんかこう、カタカナ表記バンドは最近おもしろいと思えないのよねぇ・・・とか、疑り深くなりながら見てたら、予想に反してばっちり面白いし!!なんか、音楽も演出もパフォーマンスも全部ひっくるめて統一されてシュールなメリーワールドって感じで。音楽メインというより、音楽含むステージパフォーマンスであります。自分を捨てて真剣なバカやって壊れちゃってる人たちが好きです。具体的な演出については、以後このバンドを見る人にとってはネタバレになるから内緒にします。行って見て面白がって驚いてください。おもしろい。バンドをやっている以上演奏テクニックが上手いというのはポイントですが、上手いというよりははっちゃけた勢いのあるのが見ていて気持ち良い。なによりドラム凄いし。あまりにも楽しそうなので思わず自分でもドラム叩きたくなりましたね。おもしろい。中途半端で無く、キッチリと自分たちなりのオリジナルな演出のできるところが非常に良いです。以後人気が出ていくに当たってどのようなアプローチをしつづけて行くのかが気になります。延々とネタを創造しつづける事が長持ちの秘訣?
■Blast
Blastは、2回目ですね。前回も感じたことですが、非常に古き良き時代を感じさせるというか。90年代前半ヴィジュアル系なんです。具体的に申しますと私の目から見るともう、醸し出す雰囲気の全てがインディーズ時代の黒夢なんです。微妙にパンキッシュなところは、Sadsに近いかなぁとか思うのですけれど。しかし地味です。色々と演ってはいるんだけれど、前後のバンドに比べるとあくまでスマートにまとめたVo.維那は落ち着きが目立つ。キレイにまとめ過ぎて爆発力に欠けるんです。かといって客を黙らす空気を作り出せるほどの存在感もなく引きこめない、Blastの空気が作れないから、どうも「ライヴハウスでステージを見てる」以上の感覚にはなれなくて。アプローチはいいと思うし、別に悪いところは無いのだけれど、何かが足りない、そんな感じ。
まーでも激しく煽って激しい曲を作って客を暴れさせてればとりあえずオッケーなこの時代に迎合する事無く、道楽でやりたい事やってるんだろうなぁーって、そんな感じだし、好きにやっててくれたら私は嬉しいよ。そんなかたくなな姿勢こそが好きよ。自分らが黒夢みたいなバンド大好きで、自分の中で理想化しちゃったバンド像を忠実に再現してるんでしょ?だからどうしたら売れる、とか、どうしたら動員が出る、とかなんて、関係無いんだよねきっと。
疾走ナンバー・ディストーションは楽しかった!全編に渡ってああいうSads並みの刺激的なパンク、だけど合間に滲み出す雰囲気はコッテリしたヴィジュアル系、みたいな実力がついてきたら狙えるバンドになれるとは思う・・・けど、どう?なんかBlastの人たち、ある程度キャリアあるだけにスタイルが固まっちゃってる気がする。どう?とりあえず私の希望としては、for
dearコピーしてくれ。頼む。頼む。ライヴ中そんなことばっかり考えてた。
ライヴは決め手が無くても、音源自体は決して悪く無いバンドなので、あとは好みの問題で。だれかBlast引き取ってくれと、ココロに願いつつ。キーワードは「清春」引っかかったらお試し下さい。
■deadman
deadman。以前にワンマンに行って、圧倒されて帰ってきてます。2回目です。
前回は後ろの方で見ていましたが、今回は割と至近距離でした。あのステージはもうホンットに怖いです。この距離であんな眞呼(Vo.)を見ちゃったりなんかした日にゃ・・・泣きましたよ私は!見ちゃいけないものを見てるような感じ。目を逸らしたいんだけど逸らせない。あの方は、歌い手としてでなく、表現者としてのヴォーカリストですね。あの表情の豊かさは、役者のモノだよね。ステージで壊れてる人はいても、「キレイな(イメージを保った)まま狂える」人はいないんじゃないか?
例えば、しっとりしたスロウな曲、ブルーベジーなんて貴方のココロはどこに飛んでってるの?ってくらいの泣きそうな顔して歌ってて、見ているこっちまでこう胸が潰れそうな気持になってくるし、ハードなre:makeでは何故か笑いながら・・・笑ってるんだけどもうなんか、歌ってて楽しいから笑ってるんじゃなくて、気が狂ったか?っていうイヤな笑いで。本編やってる間は絶対にプライヴェートな感情が登らなさそう。曲世界を演じる役者だ・・・素晴らしいわ。こういう表現者を待ってたわ。
演出に使われる小道具なんて物凄くショボイです。でも、ショボイなぁと思うのは最初の一瞬だけで、その安っぽいハズの小道具が、小道具としてではなく演出効果としての意味をなしてくる。何でコイツ紙袋かぶって出て来るんだよ〜アハハ、と思った瞬間にその穴から覗いてる目は、恐ろしく生々しかった。そんな演出が要所要所で使用される。この人、確信犯だ。
私は楽しかったら大抵にこにこしながら見てるんですけど・・・笑えない。笑えないよぅ。笑ったら・・・呪い殺されそうです。まぁパっと見イレギュラーだったりチープだったりするので雰囲気に飲まれる気のない客観的な客にしたら笑うネタにされるようなこともあるかもしれませんが。意味は深いんだぞーとここは声を大にして主張したい。
全体的な雰囲気としては、その迫力もさながら、他にはない洋モノっぽい空気が漂いますね。洋楽っぽいとか言われてて、私は洋楽はわかんないんですけど、洋画でもああ言う感じ。耽美だけど柔らかさ・しなやかさが無くってバタ臭い感じ。
で、また演奏がバカみたいに映えるんだわ。初め音のバランス悪いかなぁ〜って、怪訝な顔をしながら見てたんですけど、そういう細かいことは、この際問題ではないです。カミテにいたので眞呼に釘付けになりながらもG.aieを見てましたが、ギター1本であそこまで出せる彼もこのインディーズ界においては突出した凄い人ですきっと。少々歪ませ過ぎーとか思ったりしましたが。手元も鮮やかで。よくピック取り落としてたりするとこ見ちゃいましたが。なんか4秒くらい目が合ってたというか、見られてたようで、でも客と言うよりモノを見るような目つきで、(見られてる見られてるドキドキ)っていうファン心理も湧き上がってこないような、変な感じの数秒でしたが。途中で生足が出てるのが気になって、顔より手より足を見てるスゲーやな感じの客になってましたがあれは出すほうが悪いと言う噂。
本編が終わってアンコールを待っている時に、なんだかほっとしてゆるんだ瞬間涙出そうになった。それだけ精神的に浸蝕されてたの。恐ろしい!なんて恐ろしいひとたちなのっ!
アンコールでは、「ボロボロです」とかいいながら、BlastのSaddy、deadmanバージョン。なんか違う曲になってました。何演ってもdeadman。好きだー!deadman好きだー!
といった感じで、各々ボリュームのあった割には、なんだかえーもう終わりー?って気がするライヴでした。
ついでにそーっと機材車触ってきちゃった。出待ち入り待ちしないので、こんなことでささやかに喜ぶ私なのです。
【edit : 02.04.26】 |