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Vol.6
LIVE HOUSEの心得


 以下の文章は、2000年にL'Arc-en-CielがREALIVEという、Zeppクラスでのスタンディングツアーを敢行した際に、
ライヴハウス経験の全く無いスタンディング超初心者ラルクファンが前の方に飛び込んで行ってとんでもない状況になることを危惧して
書き連ねた文章を、一部加筆訂正したものです。ネタになるかなぁと思って。
 ライヴハウス百戦錬磨のお嬢さんからすれば思うところもありましょうが、よろしければ参考になさってください。
そういや最近こういう危ないライブに行ってないなぁ私…。
■LIVE HOUSEの心得

スタンディング初体験の皆様に、ライヴハウスでライヴを見るにあたっての注意点などを、僭越ながらわたくしがお伝えしたいと思います。
まず、スタンディングといいますものはつまり椅子が無いってことです。そのためどこで見るか選ぶのも自分次第。その自由さが醍醐味でありますが、それゆえ楽しくライヴを見る為の暗黙のルールというものも存在します。座席指定のあるホールがピクニックならば、ライヴハウスは冬山登山です。体力さえあれば準備なんか要らない、なんてことは無いのです。入念な準備を心がけましょう。
ここで言うところの「スタンディング」とは、AXとかZeppくらいの規模の、主にメジャークラス〜トップインディーズで、さらに前列も前列の白熱した場所に陣取る場合のライヴの様子であります。バンドによって雰囲気もかわりますが、大体は「今日は前に突っ込んで暴れるぞ!」って気合入れてる場合ですね。後方の空いているスペースでのんびり見ている場合には何も考えなくても大した問題はないのです。
スタンディング初体験などというものは、出来ることなら後ろから様子を窺がうのが望ましいのですが、どうせ行くなと言われたって始まったら最後舞い上がって前に突っ込んで行きたくなる可能性大でしょう。ですから、気付いたら悲しい思いをしていた、なんてことのないように、よく備えておきましょう。

スタンディングの場合、大抵、チケットに整理番号が付いてますが、この番号の順に開場の時間までに集合し、案内に従って整列し、スタッフに呼び出されて会場内に入ることになります。開場時間の少し前に行けば間に合うでしょう。遅い番号なら遅くに行っても、呼び出しに間に合えば大丈夫です。
たまに勘違いしている人がいますが、整理番号というのはあくまでも「入場ゲートを通過する優先順位」です。番号が遅いから後ろで見なきゃダメとか、早いから前に行く権利がある・・・ということではありません。
時々チケット番号の頭にAとかBとか付いてますが、まぁ大抵はAの番号のついている人が全員入ったらBに、ってことが多いです。まれにはA・B同時入場などといったケースが無いわけでもありませんが。

また、ライヴハウスでは、入場時にドリンク代をライヴハウス側から請求されることがあります。大抵は500円。これで、ドリンクカウンターあたりからジュースとかウーロン茶、ミネラルウォーターといった類のものがライヴハウスから頂けます。コストパフォーマンスの悪さは、席料のようなもんで仕方ないものだと思って諦めましょう。

【荷物を持たない】
まず必ず守った方が良いお約束「荷物を持って入らない。」こと。手ぶら推奨。
後ろでのんびり見ているならいざ知らず、前の方は満員電車よりスゴイことになります。手荷物は周りにも迷惑。落としても潰されて踏まれても文句は言えません。
ライヴハウスでは盗難も多いので、貴重品を入れたまま荷物を放っておくのも、ちょっと危険。
Zeppクラスのライヴハウスならばロッカーもたくさんありますので、荷物は必要なもの以外は全部ロッカーにつっこんでからフロアに入りましょう。会場内にロッカーが設置されているところでは、入場してから場所をキープしに行く前にロッカーに立ち寄る事になるんですが、荷物はあらかじめまとめておき、小銭100円3枚くらいを用意しておくとすばやくフロアにいけます。
良ポジション確保のため開場後に悠長な事をしていられないような方は、もより駅のロッカーを利用するのも一つの手です。チケットとかドリンク代などの最低限の荷物を持ち歩くためには工夫が必要。ヒップバッグとかポシェット(?)とかウエストポーチ(!)とか・・・。季節が悪いと衣類を駅に置き捨てていきますので、極寒の冬はTシャツ一枚で順番待ち。しかしライヴ前はおかしくなっているため結構気合いで乗りきってしまえたりする。
ライヴハウスではカギをかけずにロッカーを使っている非常識なひとがたくさんいますが、時としてきちんと金を払って使用する人に中身を全部放り出されてしまいます!大変!そんな無用心さんのためにここはひとつ自腹で親切にカギをかけてあげて、ライヴ中に人ゴミの中にカギを放り投げて、終演後に右往左往する非常識さんを眺めつつ知らんぷりして帰っ ・・・たりしないようにしましょう。ライヴハウスにご迷惑ですから。ですから何が言いたいのかというと、荷物の管理には気を緩めないように・・・。

【身軽な服装・他人に迷惑を掛けない服装で】
冬になると時に見かける、コートなど着込んで前線に入るひと。仕事帰りにスーツで来たお姉さん。貴方、本当に二列目三列目に立ってて大丈夫ですか?がんばっちゃうと凄いことになりますよお〜。制服・・・、貴方明日学校行かないつもりですか?
身をすりあわせて押し合いへしあい空間、汗はつくわ人の化粧はつくわ本人も周りも暑いわでもう大変。始まっちゃえば大抵暑いことこの上ないので、前列で暴れる気ならTシャツ一枚で十分。キャミソールは他人に汗をすりつけるので嫌がるひともいるようですが、まぁ好きにしてください。
お高いライヴファッション、手間ヒマかけたコスだとか、お上品なロリータをする人は、脱ぎなさい。どうしてもと言うなら自己責任で着崩れる覚悟を持ってGO! ボリューム大のパニエは邪魔。どういう趣味だか衣服に血糊を付けるひとがおりますが、絶対に落ちない染料を使ってください。絵の具で血糊・・・、そしてそれは汗でしみでて他人の洋服を汚す。とんがった鋲つきのアクセもダメ!刺さる!刺さるってば!凶器になるアクセ全部はずせ!
ライヴが始まったら、髪の長い人はできるだけくくって欲しい。汗で髪の毛がへばりつくと不愉快。背が低ければ後ろの人に髪を食べられちゃうし、高ければ隣の人の顔に当たり痛い。髪の長いヘドバンは優雅ですが、そういうのは人に迷惑をかけないところでやりましょう。痛いです・・・。
ヘアアクセ、ヘアピンの類も後ろの人の眼球を突き刺さないようなものをチョイス。おだんごにするのもちょっと痛いらしいがどうなんだろうか・・・?
メガネの人はできるだけコンタクトに。メガネは曇るし、落として踏まれておしゃかにすること間違いなし。ピアスすら落ちる空間だからね。ヘドバンの髪の先が目にパシパシ当たるとコンタクトもポロっと落ちるんで、気を付けて・・・。
着替えのTシャツは一応持って行きましょう。ぐしょぐしょになります。汗が冷えて風邪、なんてことにならんように。

【見えなければ引いてみる】【無理やり突っ込まない】
背の低い人は、人に「埋もれ」てしまって、メンバーなんてちっとも見えねーよという状況に陥りがち。身長があれば、視界がひらけると云う事もありますし、空気もあるので体力的にかなりの余裕が出ます。ちびっこさんは日頃、底の高い靴とかを履きこなしておくのも一つの手かも。しかしコケて捻挫しても文句は言わないこと。厚底がバンギャのトレードマークの所以。あまりにもすんごい身長の水増しは後ろのひとが怒り狂います。
サンダルは脱げるし、ヒールは人の足を踏んじゃうと激痛なのでなるべく禁止。無難なとこだと「運動靴」ですか。
見えないと思ったら、いつまでも頑張ってないで引き際が肝心です。嫌な感じの人がいる場合も逃げるに限る。後ろの方が見やすいケースも多いんです。動きにくい前より、後ろの方がスペースあいててせいせいと暴れるとかヘドバンとかっつーのもある。せっかく前なのに、とか思うと未練が残るかもしれないけれど、そこは状況を見極めるべし。見えなかった、辛かった、で貴重なライヴを終わらせてはいけません。ギュウギュウで死にそうになったその2メートル後ろの地点は実にスカスカで快適、なんてことも良くある話です。
前に行きたいからって、闇雲に突っ込むのも程々に。会場は、ところどころにバーやフェンスで仕切ってあって、基本的にそれ以上前には進めなくなってますので、やたらめったら押して周りの顰蹙を買わないように。押しまくった結果、人間が将棋倒しになって中断っていうのは、ライヴ進行も止まるし非常に萎えます。

【身体が辛い時は潔く引く】
辛くなってきたら、自力で動けるうちに退去するべし。「出ます!」ってアピールしたら大抵の人は前列から出るのを手伝ってくれるハズです。(ていうか手伝ってやってください。)係員に助けを求めるのも可能。無理をおしているうちに自分じゃどうにも出来なくなって失神して、無粋な係員が大騒ぎでつっこんできて他の人に白い目で見られて帰り道が辛くなります。
何にしてもまずは体力、体力です。しっかり睡眠をとるのです。
汗をかきすぎると脱水であっけなく倒れたりするので、水分補給の準備も。邪魔じゃなければペットボトル持ち込み。水がいいよ。ミネラルウォーター。どうせならドリンクカウンターで貰って。
最前列もしくはバーを取ると、寄りかかれるし空気もあるので非常に楽な反面、一旦押されると、口から内臓飛び出るくらい辛いときもままあることを覚悟。
ライヴあとには全身アザだらけなんて当たり前だ、もし大怪我してもそれはそれで仕方ない、くらいに思っておいたほうが良いと個人的には思いますが。


【助け合いの精神を持つ】
周りに埋もれているコが居たら、すばやく助け上げられるくらいの助け合いの精神を。周りのひとが倒れるようなことがあったら、全力で助け出しましょう。誰か転んだら、将棋倒しになったら、とにかくまわりの人が手を貸して起こすのを手伝ってあげて下さい。時にステージからバンドマンが落ちてきて大雪崩が起きたり・・・、冷静さを欠くあまり倒れてる人を踏みつけてでも触りたいとか思っちゃいがちですが、ダメです。死人出ます。ライヴ終わっちゃいます。「バカなナントカがダイヴしたせいで客席ぐちゃぐちゃでアンコール無かったじゃねーか馬鹿野郎」なんてことも実際にありますから落ち着いて状況を見るのだ。出演者が以後イベンターから客席ダイヴ禁止をくらうのもこちらとしてはつまんないでしょ?
サッと譲れる人はかっこいい。ぎゅうぎゅう詰めの前列付近なんて、迷惑をかけかけられの空間なので助け合い譲り合いの精神は非常に大事だ。一度や二度殴られたくらいでイライラしていたらライヴもつまんないのです。ライヴ中に、迷惑かけちゃったかな、と思ったときは、アンコールとか終演後にひとこと謝っておくと、お互い良い気分で帰れるのではないかと。
押されたからって後ろのひとに文句を言うのはナンセンス。押されたく無いなら後ろに行けばいいのですよ。ねぇ?「苦しい・痛いのは嫌だけど、近くで観たい」ってひとの居場所は・・・、えーと探したらどっかにあるんですかねえ?

【歌わない】
うーんと、細かいけれど、スタンディングですと、隣の耳との距離も近くなりますので、せっかく素敵なヴォーカリストの歌声を堪能したいときに「耳元で歌うなバカ!」とかいうことにもなります。できればカラオケはカラオケ屋さんでやってくださることを切実にお願い致します。ついでにライヴ中の私語もほどほどに。バラード中のツッコミには気持ちをかき乱されるから。

【携帯はマナーモードに】
当たり前だけれど、ホールとかでも通用してる基本的なマナーも守ってくだされ。携帯はせめてマナーモードにしとけ!ライヴハウスはたいていどこでも電波が入りにくいので、携帯での連絡は取れないかも、と思っていたほうが安全。あと、落としたら携帯死亡を覚悟。

【目立つことに必死にならない】
うちわとかぬいぐるみとか手作りの貧相なポンポンとかナースキャップとかミッキーの手とか生茶パンダとか視界を遮るようなものを持ちこむんじゃねぇ!あまつさえ造花振るなアレは針金の武器だ武器!バラードとかMCの最中に無駄に叫ぶな!そういうことで目立ちたがらないように。曲に相応しい空気を作るのもファンの心得のひとつと思いませんか?

【初心者にやさしく】
【気に入らない人を潰さない】


ことあるごとに新規ウゼーとか新規ウゼーとか新規ウゼーとか言ってふんぞり返っているひとが大抵だれよりもうっとうしい。

人間としてフェアに行きましょうねフェアに!同じバンド好きな仲間同士なんだからね!誰でもはじめは初心者です!
あとねぇ、何が気に食わないんだか、どさくさ紛れて殴ったり蹴ったり安全ピンでちくちくやったりするひとは容赦なくとっつかまえて警察に突き出して良いですからね。


ライヴハウスは、ホールと違った楽しさがあります。
ただメンバーに近いからイイってことだけじゃない。自分の観たいポジションで観られるところとか、ぎゅうぎゅうの極限状態でプリミティヴに暴れまくるとか、そういうところですね。
あれこれ言いますが、ライヴハウスのマナーといいましても人によって千差万別。
規模なり、バンドなり、個人なりに独特のポリシーがあると思いますが、いかがかしら?
誰ともなしに出来ていったルールはありますが、絶対ではないです。あれはだめ、これもだめ、あれが気に入らない、あのひとウザい、そんなことばっかり考えていてもつまらないですよね。

大切なのは、他人に迷惑をかけないこと、自分が楽しむこと、その二点です。自由に楽しみましょう。





【2000.9 らるく教会投稿用に執筆 / 2002.1.21加筆修正 / 2004.3.13加筆修正 / 2008.6.15修正】
浅岡雄也氏のFCサイトにまるごと載っているらしい!ありがとう!(何が)

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