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未練

2007年04月02日

サクラメイロ。
桜雨色なのかも、と、静かな朝の霧雨に濡れる桜を見て、ぼんやり思った。
そうか、あのひとは一年に数日しか存在しない桜の季節を選んで生まれた。だから特別なのだと。

未練はいつまでも燻ぶり続けて、
そのだらしない関係性をだらしない、だらしないと言いながら、
結局断ち切ることなんて出来なくて
心の底では何時までも縋っていたでしょう。
ここに集う誰もが忘れられてない。
だからその欠片だけでも感じたくてここにいるんでしょ。
あの日から迷子。
桜の夜に、ただ見守られてくすぶり続けていた未練の火を静かに消した。
周りは暗くなって、そして誰もが沈黙した。
啜り泣き、それははじまりのようでいて、
そう、はじまりのようでいて始まりではなく、
「本当の終わり」のために泣いたのだと。
あれが光だからね。
指差された方向に暗闇の中で見出した光はまだ薄く、形もはっきりしない何かを映していた。

Kanomaのイベント、怪人たちとの音遊び、三回目。
Fatimaへの未練が未だにヒトを動かす。
いい加減にしてよ!いつまでもFatimaの曲並べて!
…と言いつつも
でも嬉しい自分がいるでしょ?
不満を口にするクセに。
いつまでもこうしてたらダメだ。新盤組まないといい加減ヤバイ。
とか言いつつFatima期待してんじゃないの?
2年経つのに、どうなの?って思いつつも、
そこは結局気持ちを引きずることが合意されてた場所でしょ。
アンコールが楽しみで、それでここにいるんじゃないの?

静かな始まりだ。夜の潮が満ちていくような空気だ。
「旅支度を始めました。」
それで、引き摺ってたものを全部棄てたかのように見えたの。

押し黙って、ただ啜り泣きだけが聴こえて
この沈んだ空気は、Fatimaの完全な「結末」に対する祝福と、悲しみ。
新しいものを受け止めることに対する不安。
今から、ex.FatimaじゃないKanomaになるんだって。
CandyがPublicが消える。「Fatimaの残骸」としてのそれではなくなる。
何時までも未練たらたらFatimaの残像を追い続けるのが良かったじゃない?
それでも、待ってた。待ち焦がれていた。
エンターテイナー「歌目」が描くあの世界の続きに焦がれてた。
踏み出す時が来るなら、それは祝福。
でもまだ何も分からない不安。
愛しき世界との完全な決別、そして可能性ある未来への祝福に、未知への不安。
それでも、まだ何も見えなくても、あの時と変わらない瞳で手を引いてくれるというから、笑った。

やはり、「バンド」の中の「Kanoma」は迫力、オーラがまるで違う。
何かを語りたくてたまらないその目が良い。たまらなく良い。
それでこそKanomaだ。ただの美形に成り下がってるような人物ではないのだ。
新しいバンドを創めるにあたって、このなんともいえない感情を揺らす演出が素晴らしい。
啜り泣きのなかで、強い言葉の中で、微笑んだ。
大丈夫、大丈夫…。

Posted:藤汰ゆき(仮) : 2007年04月02日 02:00


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